Q7. GOP改善方法⑥ リピーターを増やす方法は?

A.リピーターを増やすうえで重要なのは、「もう一度来たいと思っていただくこと」を、偶然の結果にしないことです。
お客様の情報を組織として蓄積し、次にお迎えするときに活かせる仕組みをつくることが重要です。

前回の記事では、GOP(営業総利益)改善の方法として「インバウンドを取り込む方法」についてご紹介しました。今回はGOP改善方法の6つ目として、「リピーターを増やす方法」について考えていきます。

顧客情報を組織で管理する

リピーターづくりの土台になるのが、顧客情報の管理です。

一人のスタッフの記憶に頼っていては、そのスタッフが不在の日や退職後には、せっかく築いた関係性が施設に残りません。

管理しておきたい情報としては、

•       来館回数や過去の宿泊履歴

•       記念日(結婚記念日、誕生日など)

•       食事やお酒・ワインの好み

•       アレルギーや食事制限の有無

•       好みの客室タイプや過去のリクエスト内容

などが挙げられます。

例えば、2回目の宿泊で、「お帰りなさいませ」お迎えしたらどうでしょう?
3回目の宿泊で夕食の際に「前回と同じ産地のワインを用意しておきました」と一言添えることができたら、お客様は「自分のことを覚えてくれている」と感じ、価格だけでは測れない特別な体験になります。

逆に、アレルギー情報が共有されておらず、過去に伝えた内容を毎回聞かれてしまうと、お客様は「結局、覚えてもらえていない」と感じ、再訪の動機を失ってしまいます。

顧客情報は、予約システムや顧客管理台帳に一元化し、フロント・客室係・レストランなど、お客様と接するすべてのスタッフが確認できる状態にしておくことが重要です。

紙の台帳やスタッフ個人のメモで管理していると、情報が分散し、必要なときに活用できません。 簡易的な顧客管理システムやスプレッドシートであっても、「誰が見てもすぐに分かる」形で一元化しておくことが、リピーター施策の第一歩になります。

システムに頼らない、心のこもった接客

顧客情報の管理はあくまで土台であり、それだけでリピーターが生まれるわけではありません。
記録された情報をもとに、現場のスタッフが一人ひとりのお客様と向き合う接客があって初めて、記憶に残る滞在になります。

会話の中では、

•       お仕事は何をされているのか

•       車や旅行など、どんな趣味をお持ちか

•       年にどれくらい旅行に出かけるのか

•       普段はどのような宿を選ばれるのか

といったことを、自然な会話の延長として伺える場面が数多くあります。

こうした何気ない会話こそ、お客様の好みや価値観を知る絶好の機会です。
「アウトドアがお好きなら、近くにこんな場所がありますよ」
「お車がお好きでしたら、この道は景色がいいのでおすすめです」
というように、聞いた情報をその場で会話や提案に活かせれば、お客様にとって「自分のために対応してくれている」という実感につながります。

そして、こうした会話で得た情報も、聞きっぱなしにせず顧客情報として記録しておくことで、次回の滞在ではさらに一歩踏み込んだ接客が可能になります。
システムはあくまで記憶を助ける道具であり、主役は現場のスタッフとお客様との対話です。

例えば、前回の会話で「年に4回は温泉旅行に出かける」と伺っていたお客様には、チェックインの際に「いつも多くの温泉地を巡られているんですね、最近はどこかへ行かれましたか?」と一言添えるだけで、会話が自然に広がります。
マニュアル通りの接客では生まれない、その人だけに向けた対話こそが、リピーターの心をつかむ最大の要素です。

旅の前後にも接点をつくる

リピーターづくりは、滞在中だけで完結するものではありません。
旅の前後にも、お客様との接点を持つことが効果的です。

予約後から宿泊までの「旅前」には、

•       予約内容の確認とともに、当日の楽しみ方や周辺情報を案内する

•       記念日利用であれば、当日のご要望を事前に伺っておく

といった連絡をすることで、宿泊前から期待感を高めることができます。

宿泊後の「旅後」には、

•       お礼のメッセージを送る

•       次回利用できる特典やお得な情報を案内する

•       記念日であれば、翌年同じ時期に再度ご案内する

といったフォローが、再訪のきっかけになります。

特に、記念日のお客様に対して「来年もこの時期にお待ちしております」といった一言を添えるだけで、翌年の予約を具体的に検討していただけるケースは少なくありません。
旅前・旅後の接点は、決して大がかりな仕組みが必要なわけではなく、メールや手紙といった簡単な手段からでも十分に効果があります。

例えば、宿泊から半年後に「季節が変わりましたが、いかがお過ごしでしょうか」といった一言とともに、次の季節のおすすめプランを案内するだけでも、お客様の記憶の中に施設の存在を再び呼び戻すきっかけになります。 連絡の頻度が多すぎると負担に感じられるため、記念日や季節の節目など、お客様にとって意味のあるタイミングを選ぶことが大切です。

リピーター向けの特別感を用意する

リピーターのお客様に対しては、初めてのお客様とは異なる特別感を用意することも効果的です。

例えば、

•       来館回数に応じたささやかな特典(ウェルカムドリンクや客室アップグレードなど)

•       リピーター限定のプランや優先予約枠

•       館内でスタッフから声をかけ、「お帰りなさい」という言葉で迎える

といった工夫は、「常連として大切にされている」という実感を生みます。 こうした特別感は、大きな投資を必要とせず、顧客情報と現場での声かけがあれば実現できるものが多いのも特徴です。

スタッフ間で顧客情報を引き継ぐ体制をつくる

最後に忘れてはならないのが、担当者が変わっても対応が途切れない体制づくりです。
特定のスタッフだけがお客様の情報を把握している状態では、そのスタッフが休みの日や退職後に、リピーターとの関係が途絶えてしまうリスクがあります。

朝礼やミーティングでリピーターの来館予定を共有する、顧客情報を記録するフォーマットを統一するなど、組織としてお客様をお迎えする体制を整えることが、長期的なリピーター施策の基盤になります。

例えば、当日のチェックイン前に、リピーターのお客様の来館予定と過去の対応履歴をスタッフ全員で共有しておけば、誰が対応してもスムーズで一貫した接客が可能になります。
「前回担当したスタッフでなければ対応できない」状態を防ぐことが、組織としてのリピーター対応力を高めます。

当社のリピーター施策・収益改善支援について

当社(ホスピタリティマネジメント株式会社)では、20年以上にわたるホテル・旅館の経営改善支援の経験を活かし、顧客情報管理の仕組みづくりから、旅前・旅後のフォロー設計、現場での接客力向上まで、施設の状況に合わせてご提案しています。

「顧客情報を活かしきれていない」「リピーターが増えない」とお悩みの施設様も、ぜひお気軽にご相談ください。

次回は、「GOP改善方法⑦ 口コミ改善の方法は?」です。