Q6. GOP改善方法⑤ インバウンドを取り込む方法は?

A.インバウンドを取り込むうえで重要なのは、「英語対応スタッフを置くこと」や「多言語メニューを用意すること」だけではありません。

海外のお客様が施設を探し、比較し、予約を決めるまでの一連の流れを想像し、その各段階でつまずきをなくしていくことが重要です。

今回はGOP改善方法の5つ目として、「インバウンドを取り込む方法」について考えていきます。

画像で施設の魅力を伝える

海外のお客様は、日本のお客様以上に「画像」を頼りに宿泊先を判断する傾向があります。
言葉の壁があるため、文章での説明よりも先に、写真から施設の雰囲気やグレード感を読み取ろうとするためです。

例えば、

•       客室の広さや眺望が分かる写真

•       温泉・大浴場の雰囲気が伝わる写真

•       食事の見た目や量が分かる写真

•       館内施設や共用スペースの写真

•       外観や周辺の街並みが分かる写真

などが不足していると、それだけで比較検討の候補から外れてしまうことがあります。

特に外国人のお客様は、和室や布団での宿泊、温泉のマナーなど、日本特有の宿泊スタイルに馴染みがないケースも多いため、実際の利用シーンが想像できる写真を多めに掲載することが、安心感と予約意欲につながります。

例えば、布団を敷いた状態の和室だけでなく、布団を畳んで椅子とテーブルを置いた状態の写真も併せて掲載すれば、「和室は床に座るだけの部屋」という誤解を防げます。
温泉についても、脱衣所や洗い場、入浴の手順が分かる写真があれば、「何をどうすればよいか分からない」という不安を軽減できます。
こうした一枚一枚の写真が、言葉の壁を越えて施設の魅力と安心感を伝える重要な情報源になります。

アクセス・周辺情報を外国人にも分かりやすく伝える

日本人にとっては当たり前の情報でも、海外のお客様には伝わりにくいことが数多くあります。

例えば、

•       最寄り駅やバス停からの具体的な行き方(英語表記、写真付きの案内など)

•       空港からの所要時間や交通手段

•       送迎の有無、予約方法

•       駐車場の有無、レンタカー利用の可否

•       周辺の観光地やコンビニ、両替可能な場所

などを、英語をはじめとした多言語で分かりやすく掲載しておくことが重要です。

「公式サイトを見ても行き方が分からない」という状態では、せっかく施設に興味を持ったお客様でも、予約をためらってしまいます。
日本人スタッフが当たり前だと思っている情報ほど、あえて丁寧に言語化しておく必要があります。

例えば、「〇〇駅からタクシーで15分」という一文だけでは、タクシー乗り場の場所や、乗車時に何を伝えればよいかまでは伝わりません。
乗り場の写真や、施設名を日本語で記載したカードのダウンロードリンクを用意しておくなど、実際の行動レベルまで落とし込んだ案内が、海外のお客様にとっての安心材料になります。

1年以上先まで販売できているか

インバウンドのお客様は、国内のお客様以上に旅行計画を早く立てる傾向があります。
航空券の手配やビザの準備、長期休暇の調整などが必要なため、半年〜1年以上前から宿泊先を検討し始めるケースも珍しくありません。

このとき、自施設の予約可能期間が数ヶ月先までしか開放されていなければ、そもそも比較検討の候補にすら入ることができません。
インバウンド需要を取り込むうえでは、国内向け以上に、客室在庫を1年程度先まで開放しておくことが重要な前提条件になります。

例えば、桜や紅葉のシーズンに合わせて来日を計画する海外のお客様は、1年近く前から日程を検討し始めることも珍しくありません。
その段階で予約が開いていなければ、当然ながら他の予約可能な施設に流れてしまいます。
在庫の開放期間を延ばすことは、国内客以上に計画性の高いインバウンド需要を取りこぼさないための、基本的かつ効果の大きい施策です。

早割・連泊割引を用意する

海外からの旅行者は、移動の負担が大きいこともあり、1つの都市・施設に連泊する傾向があります。
また、早くから旅行計画を立てる分、早期予約に対する割引にも敏感です。

そのため、

•       早期予約割引(〇日前までの予約で割引)

•       連泊割引(2泊以上で割引)

といった価格設計を用意しておくことで、インバウンドのお客様にとって選ばれやすい施設になります。

これは、前回ご紹介したイールドマネジメントの考え方とも一致します。
早期予約や連泊は施設側にとっても稼働の見通しが立てやすく、その分お得な価格を提示できる合理的な関係にあります。

ベジタリアン対応をアピールする

食事は、インバウンドのお客様が宿泊先を選ぶ際の重要な判断材料のひとつです。
特に、ベジタリアンやヴィーガン、宗教上の理由による食事制限があるお客様にとっては、対応の可否が予約の決め手になります。

もし自施設でベジタリアン対応が可能であれば、

•       「ベジタリアン対応可能」であることを公式サイトやOTAに明記する

•       対応可能な料理の内容や、動物性食材をどこまで除去できるかを具体的に示す

•       事前予約制であれば、その申し込み方法を分かりやすく案内する

といった形で、しっかりとアピールすることが重要です。

「対応できるのに伝わっていない」ことは、機会損失そのものです。

逆に、対応が難しい場合でも、その旨を正直に伝えておくことで、後々のトラブルやミスマッチを防ぐことができます。

例えば、「ベジタリアン対応可」と一言だけ書かれていても、卵や乳製品、出汁に使われる魚介類まで除去できるのかは、お客様には分かりません。
「乳製品・卵は使用可、魚介だしは昆布だしに変更可能」というように、対応範囲を具体的に示すことで、お客様は安心して予約でき、当日の食事提供時のトラブルも防げます。

お祈りのためのスペースやマットを用意する

食事と同様に見落とされがちですが、ムスリムのお客様にとっては、1日5回の礼拝を行える環境があるかどうかも、宿泊先を選ぶうえで重要な要素になります。

大がかりな専用ルームを新設する必要はありません。

•       客室内に礼拝用マットを常備しておく、またはリクエストに応じて貸し出す

•       礼拝の方角(キブラ)が分かるシールやカードを客室に用意する

•       館内の一角に、簡易的に利用できる静かなスペースを案内する

といった対応でも、お客様にとっては大きな安心材料になります。

重要なのは、こうした対応が可能であることを、公式サイトやOTAの施設情報にきちんと明記しておくことです。

「礼拝用マットの貸し出し可能」「客室に方角シールを設置」といった一文があるだけで、他の施設との比較の中で選ばれる理由になります。
特別な設備投資をせずとも、既存の備品や案内の工夫だけで対応できる場合が多いため、まずは自施設で何ができるかを洗い出してみることをおすすめします。

当社のインバウンド集客・収益改善支援について

当社(ホスピタリティマネジメント株式会社)では、20年以上にわたるホテル・旅館の経営改善支援の経験を活かし、写真・多言語情報の見直しから、在庫公開期間の設計、早割・連泊割引の設計、食事や礼拝など多様なニーズへの対応の見せ方まで、施設の状況に合わせてご提案しています。

「インバウンド需要を取り込みたいが何から手をつければよいか分からない」とお悩みの施設様も、ぜひお気軽にご相談ください。

次回は、「GOP改善方法⑥ リピーターを増やす方法は?」です。