人手不足よりも人材不足

外資系ラグジュアリーホテルが続々と開業しています。
人手不足のホテル業界で求人にはかなり苦労しているようですが、そもそも一気にラグジュアリーホテルが開業して頭数はそろったとしても「人材」がいるのだろうか?
そう簡単に1泊10万円、20万円~の価値を提供できるのか?
インバウンド富裕層にとっては日本人の金銭感覚とはかなり違うことは理解していますが、それにしても金額の価値を理解しているスタッフがどの程度いるのかも疑問です。
有名な外資系ブランドのネームバリューに価値があって、そこにお金を払っているような部分も往々にしてあるのではないでしょうか。ブランド(看板)に依存するだけではなく自らの努力や勉強も必要です。常にインプットし続けましょう!

高単価政策って、提供価値が見合っていますか?

コロナ禍が落ち着いたいま大きな問題は「人手不足」「給与の改定」「仕入れコストの上昇」「エネルギーコストの上昇」などですが、それらの負担増を高単価販売で吸収する動きがかなり活発に行われているようです。
特に東京都内のホテルの販売価格は半年前と比較すると2倍程度になっているようです。日によっては3倍程度の日も珍しくありません。本当にこれで良いのでしょうか?
価値が変わらないのに「需要が有るから」「人手不足だから」「他の国に比べて安価だから」そんな理由で販売価格を変動させていると、自らの首を絞めることになります。
高く販売するのであればそれなりの価値の提供を真剣に考える必要が有ると思います。勿論、スタッフ自身のスキルアップはもとより、経営者の努力などは言うまでも無いことです。もう一度「価格と価値」ということを考える必要が有ります。

起業や転職は運とタイミング

友人や後輩から起業したい、転職したい、という相談を受けることがあります。
いつ行動を起こすか大切なことはタイミングです。家族のいる方は生活の基盤も大切です。
起業する場合は今までは会社という大きな看板が守ってくれていましたが、1人になった時に本当に人がついてくるか、仕事がついてくるか、前のめりすぎても慎重すぎてもダメ、少しだけ俯瞰して自分の実力や回りの情勢を見極めることが大切です。
私の場合は何となく流れで会社を設立したら、出会う人たちが応援してくれたことはラッキーですが、それは時代的な背景も見方になったと思います。運やタイミングや巡りあわせがピタッと合うと起業も転職もうまくいくものです。弊社の場合は景気にあまり左右されないことです。景気の悪いときは再生案件、景気がよくなると人材教育と新規開業、さらには収益力とCSの強化、その時その時に会わせて仕事の依頼をいただきます。でも今回のコロナ禍出はさすがに大きなダメージを受けましたが、これも運とタイミングと巡りあわせもあり、なんとかコロナ禍の苦境を抜け出しました。2022年夏以降はかなり忙しい日々を過ごすことができています。来期も経営的な見込みもある程度たちましたが、既に視線は再来年を見ています。
「運」に恵まれることが最大の成功の秘けつであり、運を引寄せるのが努力とタイミングが重要です。また努力が運を引き寄せ、仲間とクライアントを引き寄せてくれます。

ホテルの価格改定と給与アップ

九州の某ホテルにて価格改定の妥当性と数値的根拠のレクチャーと議論をしました。
食材原価、リネン費、エネルギーコストは20〜30%アップ、アルバイトやパートの時給アップ、一方では人手不足と宴会需要の激減。
経費の高騰分をどこで吸収するのか、更なる経費の見直しはもとより、スタッフの生産性アップのための教育研修やサービススタンダードの見直し等、自助努力は当然ですが、いまやそれだけでは利益確保は難しい状況。コロナ禍で何度も見直したオペレーションですが再度見直しです。
そしてただ単なる値上をするのではなく付加価値のアップをしつつ自信をもって料金改定をする、そしてスタッフやお客様にもしっかりと還元する、給与をアップし仕事にプライドを持つ。ということで会議参加メンバー全員で共有できました。

【宿泊業界(ホテル&旅館)の人手不足(離職)解消のために?】


結局は給与水準が低すぎることが大きな原因となっている。
職場環境ややり甲斐なども大切だがそれにしても給料が安すぎる。
「結婚するけど給料が安くて生活出来ないので転職したい」
「会社や仕事は好きだけど子供のために転職したい」と相談されるケースがある。

その都度情けなく残念で仕方がない。

ある調査によると全産業で宿泊業の所得水準はほぼ最下位とのこと、それではいくら理想論や正論を言っても問題は解決しない。
所得が低いので社会的地位まで低く見られてしまう。
要するに「利益(儲け)」を増やしスタッフに還元するしかない。

競争力のあるホテルであれば販売価格を上げることも可能かもしれない。
しかし多くのホテルの実態は近隣との競争に勝つためには、いまだに価格を安くして集客することを考えている。周辺と横並びが安全と考えている。

利益を増やす方法としては「生産性」を高めることが重要であることは言うまでもない。日本のサービス業は世界と比較して生産性が低いと言われている。

無料のサービスを提供することが付加価値と言われ、
価値ある商品を安価に販売することが競争力と言われてきたが、価値には相応の対価が発生するべきである。


また効率という意味では、10人でやっていた仕事を高いスキルで7人でできれば、60分かかっていた仕事を効率的に30分でできれば生産性が向上して利益貢献ができるはず。

その為には「スキル、知識、仕組み、情報」が必要となる。もちろんシステム化や業務の断捨離や顧客満足度を下げないことが前提となる。そしてファンを作り「選ばれるホテル」になること。

従業員も経営者も自らが勉強することも欠かせない。
弊社にも生産性改善や効率化のための問い合わせが増えてきている。
経営者はスタッフやお客様に「愛情」を持って経営にのぞんでいただきたい。
スタッフは「プライド」を持てるよう自らを高めていただきたい。
愛情とプライドは大切なモチベーションです。

面接担当者のセンスを磨く

某空港内にあるワインバーでの経験、
女性スタッフは前回座った席もオーダーしたワインもオツマミも覚えていました。
彼女の出勤の日に私が訪れたのは3回目ですが、1回目、2回目に座った席まで覚えています。


今の仕事の前は生命保険の営業をしていたとのこと。
顧客を作るのは場所も料理も価格も大切ですが、やはり「人」ということです。
いつもは2杯のところ4杯飲んで気分よくフライトです。
よいスタッフがいる店舗は売上が上がり、更には口コミで客が増える。

スタッフを育てるのは教育も大切ですが、入社時の面接担当者のセンスも重要です。面接担当者のセンスを研くことが企業の発展には必要ということですね。
皆さんの会社はいかがですか?

20年目の補強


コロナ禍で疲弊した宿泊産業をサポートするために、弊社では人材を補強してあらゆるニーズに対応できる体制構築をしています。
特に新規開業・リノベーション・リブランドなどに関しては経験豊富なスタッフ2名をヘッドハンティングしました。レストラン部門も優秀なパートナーを迎い入れました。
進出立地のマーケット調査から、フィージビリティスタディ、運営コンセプト策定やサービススタンダード構築など開業までのほぼ全てのノウハウを提供が可能です。
勿論、既存施設の収益改善、人材育成、運営改善などもさらに充実させています。失われた2年半にしないため、次のステップに進みます。

【先を読む】


コロナ禍で過去2年間一貫してスタッフの補充と人材育成の必要性を言い続けていた経営者がいます。
勿論、離職者がいなかったわけではなく、体制を維持するためにかなり苦しんでいました。救いだったのはスタッフの理解と協力を取り付けていたことです。

コロナ禍において単価アップの取組みとともに付加価値のアップにも取組み、稼働や人数よりも品質とレピュテーションを優先した結果、今では売上も営業利益もコロナ前を上回ってます。

一方では多くのホテルや飲食店では人手不足で現場が疲弊し、需要回復期にもかかわらず予約を制限せざるを得ない状況があります。

経営者にとっては足元も大切ですが先を読む力の大切さを再認識させられました。
次の一手は顧客体験価値をさらに高める取組みです。
選ばれ続けるために、そして高単価でも納得してもらうためにも物理的価値や経済的価値以上に心理的価値や感情的価値の追求を目指しています。

「人件費は経費ではなく投資」


急激な需要の回復で人手不足が深刻なホテル業界、この2年半で沢山のホテリエが離職しました。いまはお客様確保よりもスタッフを確保することが難しい状況で、現場の皆さんはかなり疲弊しています。
ましてやコロナ禍で給与や賞与の減額などもありモチベーションを維持するのが精一杯。
そんな中で先日訪問した地方都市の某フルサービスホテルでは、厳しい経営状況の中で年末の賞与を満額支給するという話を聞きました。
さらには人材育成の為の研修や勉強会を積極的に実施しています。
足元の経営や資金繰りも大切ですが、将来のための人材確保と人材育成はさらに重要です。
人件費は経費ではなく利益を得るための投資であると考えたいものです。

依存症からの脱却(自省の念を込めて)

雇用調整助成金や各種支援金(金融機関も含め)のおかげで多くのホテルや旅館が助けられてる一方で、依存しすぎて自助努力を怠っているホテルも多々みられます。
ホテル業界は深刻な人手不足により一部では営業制限や予約制限をせざるを得ない状況です。
遅ればせながらでも新たな考え方と運営スタイルに切替をしないと、秋以降には更にシビアな状況に陥ることになるでしょう。
誰が利益をもたらすのか、経営者の能力やリーダーシップは勿論のこと、やはりそこで働くスタッフだと言うことを忘れてはビジネスが成立しないということ、自省の念を込めて、